自分ノート

~自戒と教訓の旅~

雨の音、真っ暗なお風呂【ふとした・ダイアリー 第4号】

 今日は、雨が降っていた。シトシトという音が、窓の外からでも十分に聞き取れた。そんな事実が、ふと湯船から立ち上がる湯気と共に湧いてきた気がした。私は何を思ったのか、風呂場の窓を開けて、電気を消した。風呂場は、給湯器の電光掲示板の光以外、光を失った。いや、光が暗くなっただけなんだと思う。視覚情報を奪われた私は、どうする事も出来ずにいた。ただ、顎まで湯船に沈んでいて、目は自然と閉じていった。私の意識は、雨の音だけに集中した。普段は鬱陶しいとさえ思った雨の音も、こう耳を澄ますせると案外悪くないものだった。シトシトという音が、時々、鉄の格子かなんかにあたって、少し大きな音を立てたりしていた。しばらく、雨の音に心を奪われていると、雨に冷やされた外の空気が、私の肌に優しく触れてきた。彼らは流暢に「こんばんは」などと挨拶はしない。おばけみたいに現れたと思うと、私の肌に優しく触れて挨拶する。少し寒い気もするが、妙に気持ちが良かった。そのうち、意識がぼんやりしてきた。湯船に浸かっている身体が、どんどん溶けていくかのような、冷たい空気に蒸発していくような、真っ暗な光に同化していくような、そんな感覚に襲われた。でも、なぜか、気持ちは良かった。するとまた、ふと、思った。この雨も”酸性雨”なんだろうなって。そこではっと意識が、視野が、感覚が私の身体に戻ってきた気がした。こんなしょうもない事を考え出すということは、そろそろ良い頃合いというもの。私はそそくさと湯船からあがった。少し日が経てば、また台風さんがやってくると思う。その時、湯船は用意できるかはわからないけれど、また雨の音を嗜みたい。その時には、雨の音、冷たい空気、真っ暗な光に同化できる気がする。 きっと。